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通帳の明細を会計ソフトに入力する際には、合計金額で入力してはいけない理由

会計ソフトを使用して銀行の通帳取引の明細を入力する際に、まれにひと月分の取引の金額の「合計額」を会計ソフトに入力しているケースを見かけます。

税金の計算結果においては違いが出ないこともありますが、この経理方法は好ましくありません。なぜダメなのかその理由を記事にしてみようと思います。

会計ソフトへの入力は元の資料とそっくりそのまま行うことが基本

通帳の取引明細を会計ソフトに入力する際には、通帳の取引をそっくりそのまま会計ソフトに入力するのが基本です。例えば通帳に

「4月1日 入金 15万円 〇〇社」といった取引がこんな感じであるのであれば↓


会計ソフトにもそっくり、そのまま

「4月1日 1万円 入金 〇〇社」と記入すべきです。

こんな感じで↓


これを通帳の4月1日から30日までの取引の合計額を電卓や手計算などで集計をし、1か月間の入金額の合計を計算した上で

「4月30日 入金額 455,035円 〇〇社他」

などとしてはいけません。


その理由としては、その会計ソフトに登録された取引を見た時に、具体的に4月1日~30日までの間にどういった取引があったのかが全く把握することができないという点があります。

通常は実際に存在している通帳をもとに、会計ソフトにデータを入力した時には、実際の通帳と会計ソフトで見比べたときに同じものが出来上がってないといけません。

今回の例でいくと通帳に4月30日に35万円という入金の取引はありませんので、実際に存在しない取引を会計ソフトに入力してはいけません。事実を歪めることになってしまいます。

また、1ヶ月間の合計金額で、会計ソフトにデータの入力などを行うと、後日、実際に4月の一か月間に何があったのかを確認する必要が出た場合に、わざわざ通帳を見返して確認をする必要があります

これはものすごく面倒なことです。

もし通帳を紛失・破棄などしていたら銀行に再発行する手間と費用がかかります。

通帳の取引とそっくりそのまま同じ内容を会計ソフトに入力しておくことで、こういった事態になったときに通帳をわざわざ引っ張り出して見返さなくてもいいようになります。

「そうはいっても、通帳を見れば明細がわかるからいいではないか。」

と考える人もいるかもしれませんが、例えばその人「以外」の別の人(例えば、後任の経理担当者や税理士事務所など)がその会計データを確認した時に、通帳には存在しない取引が入力されていると、何でこういったデータ入力がされているのかを判明するのに時間がかかってしまいます。

時間がかかるだけならまだしも、こういった入力をすると、税務署の人が調査に来た際に本当にこの帳簿は正しいのだろうか?という疑いを向けられることにもなりかねません。

そういった事態を避けるためにも、通帳の取引を合算で入力するのはやめるべきです。

自分だけでなく、だれが見てもわかるような状態に明瞭にデータの入力するのが基本と考えましょう。

合計金額で会計データを作成すると税金の負担額が変わることも。

この、合計金額で会計データを入力する方法ですが、場合によっては税金の計算結果が変わってくることも考えられます。

例えば通帳への入金が全て売上の入金がされているのであれば100歩(いや、1000歩)譲っていいのですが、もし売上に関係のない入金があった場合に問題がでてくることになります。

例えばこんな感じで

4月15日に入金された5,000円は売上でなく、前金などの場合に、1ヶ月間などで合計の取引金額を会計ソフトに入力している場合、売上の金額が必要以上に多くに計上され、結果的に税金の負担が大きくなる可能性があります。

これは出金額についても同様で、銀行の出金額を合計で経費として計上したりすると、正しい経費の金額が計上されず、結果として間違った税の申告を行う可能性も考えられます。

取引金額の「集計」は会計ソフトに任せる

そもそも1ヶ月の間の取引金額を合計して、その合計金額を会計ソフトに入力する際には事前に通帳をみながらそれぞれの取引金額を合計する必要があります。

電卓やExcelなどでひとつひとつの取引金額を合計するという「作業」自体がものすごく手間です。

電卓を使って手作業で行っているのであれば、金額の集計間違いの可能性も発生します。

この点、会計ソフトであれば集計機能が標準でついているので、1つ1つの取引を登録することで一か月間であったり、年間であったり、集計したい期間を自由に選択して合計金額をすぐに集計し、そして表示することができます。

合計を間違うこともありません。取引金額の集計作業は会計ソフトに任せてしまいましょう。

まとめ

通帳の明細を会計ソフトに入力する際には、合計金額で入力してはいけない理由を記事にしました。

作成した会計データをExcelデータなどとして出力し、経営判断や分析をおこなうなど、のちのちの作業の利便性から、「あえて」実際の通帳の記載と違う入力を会計ソフトに行うやりかたもあるにはあるのですが、こういった特殊な入力方法は基本的な入力の理解ができていることが前提です。

まずは基本的な入力をマスターしていただければと思います。

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