今回は個人事業主・フリーランスの方向けに減価償却の内容をざっくりと説明します。
減価償却に関してはなんとなく苦手にされている方が多い印象がありますので、この記事を読んで少しでも理解が進めば幸いです。
なお、定額法を採用しているという前提で話を進めていきます。
目次
そもそも減価償却ってナニ? 長期間使っていく資産を決められた年数で分割して経費にしていく作業が減価償却です。
パソコンや車、事務所に設置したエアコンや冷蔵庫などなど、購入してから3年とか、10年、はたまた30年とか「長期間」にわたって使うことができる資産があります。
こういった資産については購入した時に全部を経費にするのではなく、その資産を使うことができる期間にわたって「少しずつ」経費に計上していかないといけません。
このように、資産の購入金額をその資産を使える期間にわたって少しずつ経費に落としていく作業を「減価償却」といいます。
例えば仕事で使うために営業用の普通自動車を120万円で買った場合に、買った時に120万円を全額軽費にするのではなく、買った年は120万円のうち20万円を経費に落とす。
次の年(2年目)にまた120万円のうち20万円を経費に落とす(この時点で通算すると合計で40万円経費に落としたことになる。)
さらに次の年(3年目)に120万円のうち20万円を経費に落とす(この時点で通算すると合計60万円経費に落としたことになる。)
さらにさらに次の年(4年目)に120万円のうち20万円を経費に落とす(この時点で通算すると通算すると合計80万円経費に落としたことになる。)
さらにさらにさらに次の年(5年目)に120万円のうち20万円を経費に落とす(この時点で通算すると合計100万円経費に落としたことになる。)
そして最後の年(6年目)に120万円のうち20万円を経費に落とすことで、6年間で合計120万円を経費にすることができるようになります。
こういった感じでその資産を使っていく期間の長さに対応させる形で少しずつ経費に計上していく。これが減価償却のおおまかイメージになります。
何年間で経費に落とせばいいのか?経費に落とす年数は法律で決められた【耐用年数】を使います
この「資産を使える期間」に関しては法律で決められていて、
- 軽自動車なら4年間で経費に落としなさい。
- 普通自動車なら6年間で経費に落としなさい
- パソコンなら4年間で経費に落としなさい
- 家庭用のエアコンなら6年間で経費に落としなさい
といった感じであらかじめ決められています。
なので、この法律で決められた期間で資産を経費に落としていくことになります。
自分で勝手に経費に落とす期間を決めることはできないので注意しましょう。
たとえば
- 軽自動車を購入して、この軽自動車は仕事で毎日ガンガンつかうから本来は4年間で経費に落とすところを2年間で経費に落とす。
- 事務所のエアコンも24時間毎日動かしているから本来は6年間で経費に落とすところを1年間で全部経費に落とす。
ということはできません。これは間違いです。
減価償却の計算方法を説明
減価償却費の金額は下記の数式にそれぞれ金額をあてはめていくことで計算することができます。
取得価額 × 償却率 × 1年間(12ヶ月)のうちその資産を使った月数 = 【減価償却費】
減価償却の計算に必要な情報について
減価償却の計算をするためにはいくつかの情報が必要になります。それがこの4つです。
- 購入した日(取得日)
- 購入金額(取得価額)
- 耐用年数
- 減価償却率
購入した最初の年の計算に関しては少し注意が必要で、それは「何月からその資産を使いだしたか。」によって金額が違ってくるということです。
たとえば車を新車で1月に買って、すぐに使いだした場合と、11月に買ってすぐに使いだした場合では前者の方が「長い間車を使っている」ことになります。この部分を減価償却の計算にも反映させる必要があるということです。
減価償却の具体的な計算方法を説明
具体的に仕事で使用するため「のみ」に軽自動車を「新車」で購入した場合の減価償却の計算を見ていこうと思います。
【具体例】
資産の種類:車(軽自動車)
購入金額:1,700,000
購入した日時(納車して使いだした日):2021年10月1日
耐用年数:4年
耐用年数が4年の場合の償却率:0.250
この前提の場合には減価償却費の金額はこのように計算していきます↓
【減価償却費の金額の計算】
取得価額 × 償却率 × 1年間(12ヶ月)のうちその資産を使った月数 = 減価償却費
1,700,000 × 0.250 × 3ヶ月(10月~12月)/ 12ヶ月 = 106,250
こんな感じで計算していきます。
自分の手を使って計算する場合には少し手間になりますが、実務上はパソコンに計算に必要な情報を入力するとあとは機械が自動で計算してくれることになっています。
また、国税庁のHPにある無料で使える「確定申告書作成コーナー」においても同様に計算に必要な情報を入力すると正しい減価償却費の金額が計算することができます。
なので、自分の手で計算できるようになる必要はありません。
計算の流れだけぼんやり覚えていれば十分です。
上記の例は仕事で「のみ」軽自動車を使う場合を前提とした減価償却の計算方法になります。
もしも軽自動車を仕事でも使っているし、プライベートでも使っているといった具合に、完全に仕事でのみ使っていない場合には計算の仕方が下記とは少し異なりますのでご注意ください。
まとめ
減価償却って何かをざっくりと説明し具体的な計算方法を記事にしました。
何度もいいますが完全に理解する必要はありませんので、
「車とか、パソコンとか長く使える資産を買った時には全部を一気に経費にできるわけではないんだな。」
「使える期間にわたって少しずつ経費にしていく考え方なんだな。」
と思う程度で問題ありません。
税務記事以外のことを個人ブログ(別サイト)で書いています。
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