確定申告書の作成をする際の根拠にした請求書や領収書については確定申告後も保管が必要です。
個人事業主やフリーランスの方と接した際に「確定申告が終わったら領収書などは捨てても大丈夫ですか?」と質問されたり、「数年前の領収書は捨ててしまって手元に残っていない。」といった言われることがあります。
ということで、今回はどのくらいの期間、領収書や請求書を保管しておかないといけないのか。そして、なぜ保管しておかないといけないのかを説明します。
目次
青色申告なら領収書や請求書は基本的に7年間は捨ててはいけない。
国税庁のホームページによると青色申告をしている個人事業主やフリーランスに関しては基本的には7年間、領収書や請求書の保管しないといけないということになっています。
上の画像によると、「請求書」や「納品書」、「契約書」などに関しては5年の保管でいいという記載になっています。
なのでルール上はこれらの請求書、見積書、契約書、納品書類に関しては正しくは5年たったら破棄してもよいということになっています。
ですが、請求書や納品書、契約書に関しては5年経過したら捨てる・領収書や通帳に関しては7年経過したら捨てる。という管理方法の場合、誤って捨ててはいけない書類まで捨ててしまう恐れがあるので、お勧めしません。
細かいことは気にせずにすべての書類に関して7年は保管しておくという管理方法が楽だと考えています。
請求書や領収書などを残しすぎていて怒られるということはありませんので。
なぜ領収書や請求書を確定申告が終わっても捨ててはいけないのか
なぜ領収書や請求書を確定申告が終わっても捨ててはいけないのか。
これはどのような経緯で確定申告書が作成されたのかを証明するために必要だからです。
例えばこんな決算書類があったとします↓
この決算書を確認すると「旅費交通費」の欄に879,000円の記載があります↓
この決算書「だけ」を見るとわかるのは、1年間で「旅費交通費」が879,000円かかっているということです。逆に言うとそれしかわかりません。
なので、旅費交通費879,000円が「いつ、いくら」発生して1年間で879,000円になったのかを確認することはできません。
1回の支払いで879,000円の支払いがあったかもしれませんし、毎月約7万円程度の支払いがあって年間で879,000円になったかもしれません。879,000円の明細を知ることはこの決算書だけでは不可能です。
ではこの明細はどうやって確認するのか?については「元帳(もとちょう)」という書類で確認することができます。
元帳の見方に関して知りたい方はこちらの記事をどうぞ↓
2021.07.21
借入金の返済状況を具体例にして、元帳(もとちょう)の見方を説明します。
元帳(もとちょう)を見ると過去の取引の状況を一覧で確認・把握することができるようになります。 元帳の見方がそもそもわからない、なんとなく苦手意識があるといった人もいると思います。 元帳の見方は難しいものではないので是非元帳の見方をマスターしておきましょう。 そもそも元帳ってどんなものか? ...
で、この元帳に記載された金額が本当に正しい金額であること証明するために領収書や請求書が必要になります。
税務署の職員が調査をする際にこの領収書や請求書を確認することがありますが、領収書や請求書を保管しておくことで、間違いなく「取引が存在した」ということ・元帳や決算書等に「記載された取引金額が間違っていない」ことを証明することができます。
こういった理由から領収書や請求書の保管が必要になります。
逆にいうと領収書や請求書がない場合にはその元帳に記載された金額を証明することが難しくなります。
第三者が見たときに本当に取引があったのか、嘘をついているのかどちらが正しいのかがわからないからです。
補助金などの申請の際に領収書や請求書が必要になることがある
本題からは少し外れるかもしれませんが、補助金などの申請の際に領収書や請求書が必要になることがあります。
2022年に新型コロナウイルス感染症により事業に影響を受け、売上が減少した場合の支援として、事業復活支援金という制度ができました。
この制度の申請の際には過去の領収書や請求書などが必要になる場合があり、請求書や領収書を紛失等により保管していない場合には別の手続きをしないといけなくなる等、申請に時間がかかるケースがあります。
このように税に関する理由以外にも請求書や領収書の保管をしておかないと困ることもありえます。
まとめ
個人事業主やフリーランスの方で青色申告をしている場合の領収書や請求書の保管しないといけない期間や、なぜ領収書や請求書を捨ててはいけないのかを説明しました。
かさばってきて邪魔になるから捨てたい。捨ててもいいですか?という声はよく聞きますが今回の記事を参考にしていただき保管をしていただければと思います。
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