フリーランス・個人事業主の方が開業したらやっておくこととして前回は「開業届」の提出について紹介しました。
前回の記事はこちら
2020.10.31
フリーランス・個人事業主が開業したらやっておくこと① 開業届の提出
フリーランス・個人事業主の方が開業した場合には税務署に対していくつかの書類を提出しておく必要があります。提出する書類の種類と数についてはフリーランス・個人事業主の方の業種や事業の規模によって変わりますが、その中でも代表的な提出書類があります。今回から数回に分けてそれら代表的な書類の内容と具体的な書...
今回はフリーランス・個人事業主の方が青色申告をするための必須の手続き
「青色申告の承認申請書」の提出について紹介します。
目次
なぜ青色申告をするのか? 青色申告をすることのメリット。
青色申告をすることでのメリットがあるのですが、代表的なものとしては
青色申告を選択して帳簿をしっかりと作成し、かつ作成した帳簿を保存しておくことでボーナス特典として10万円~55万円、さらに一定の条件を満たす場合には65万円の特別控除(経費のようなもの)がもらえるというものがあります。
それ以外にも下記の表にあるように様々な税務上の特典(メリット)を受けることができます。
メリット | どんなメリットか? |
青色申告特別控除 | 商売・事業に関する取引をしっかり記録することで商売・事業の「利益」から10万~最高65万円を控除(差し引く)することができる。 ※税金が10万円~最高65万円やすくなるわけではないので注意。 |
青色事業専従者給与 | 奥さんや旦那さん、自分の子供等、いわゆる家族と一緒に商売・事業を行っている等、いくつかの条件を満たす場合にはそれら家族に支払った給与を経費とすることができる。 |
純損失の繰越しと繰戻し | 商売・事業が赤字の場合にその赤字を翌年から3年間繰越して翌年以降に商売・事業が黒字となった場合に相殺することができる。 |
貸倒引当金 | 取引先に対する売掛金などの貸し倒れに備えて所定条件を満たす経理を行った場合、その経理額を経費とすることができる。 |
ここにあげたものでもやはり代表的なものは青色申告の特別控除ではないでしょうか? その次は青色事業専従者給与かなと感覚的には感じています。
青色申告をするには青色申告の承認申請書の提出が必要
メリットがいくつかある青色申告ですが、「青色申告をやりたいな。」と思っても自動的に青色申告ができるわけではありません。
税務署に対して「私は青色申告でやりますよ~。」という意思表示をする必要があります。
じゃあその意思表示はどうやればいいのかというと、
具体的には「青色申告承認申請書」を作成して税務署に提出することで「自分は青色申告でやりますよ~。」という意思表示ができることになります。
青色申告承認申請書の具体的な記載方法
次に具体的な青色申告の承認申請書の記載方法を説明します。
こういった書類に必要事項を記載して税務署に提出します。
記載箇所に関しては
- 納税地(住所地にチェックを入れるのを忘れないようにしましょう。)
- 氏名
- 職業
- 生年月日
- 屋号(あれば)
- 令和何年分から青色申告の適用をうけるのか
などを記載していきます。
具体的に税理士の「国税 太郎」さんが税理士業を開業する場合の記載方法をみてみます。
※前提条件※
名前: 国税 太郎 (コクゼイ タロウ)
住所: 大阪市北区梅田123
生年月日: 平成5年7月7日
職業: 税理士
所得の種類:事業所得
事業開始日:2021年7月7日
令和3年から青色申告の適用をする場合
その他の箇所に関しては該当するかどうかを判断しチェックをいれていきます。
こういった感じで記載しておけば問題ないでしょう。
いつまでに青色申告の承認申請書の提出すればよいのか?
作成した青色申告の承認申請書ですが、提出する期限がありますので注意が必要です。
基本的には事業を開始してから速やかに出せばよいのですが
厳密には国税庁のHPにこのように記載されていますので、それに従って期限までにしっかり提出しましょう。
青色申告の承認申請書の提出先はどこか?
青色申告承認申請書の提出先は前回の開業届と同様納税地を所轄する税務署 お住まいの住所を管轄している税務署に提出します。
提出する際には税務署に提出するいわゆる「提出用」を1部と自分で保管しておくための「控え用」を1部、合計2部作成しておきましょう。
そのうち1部を税務署に提出し、残りの1部は自分で保管しておきましょう。
管轄している税務署の調べ方については前回の記事を参考にしていただければと思います。
2020.10.31
フリーランス・個人事業主が開業したらやっておくこと① 開業届の提出
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まとめ
フリーランス・個人事業主の方が青色申告をするための必須の手続き、青色申告の承認申請書の提出用紙の記載方法から、提出先などについて紹介させていただきました。
開業届と同様に、記載方法や記載箇所に難しいところはありませんのでこちらもサクッと作成して提出しておきましょう。
以前、税務相談の会場にて白色申告の個人事業主の方がいらっしゃって、割としっかり帳簿作成をされているようだったので、
「来年は青色申告にしてはどうでしょうか? 今のような経理を続けていただければ、10万円の特別控除が無条件で認められるようになりますよ。」
とアドバイスさせてもらったところ、少し悩んだ様子でしたが
「やはり白色でいいです。」
と断られたことがありました。
どうやら青色申告にすると難しくなってしまうという印象をお持ちのようです。
青色申告でなければダメだ!!というつもりは全くないのですが、白色申告であっても青色申告であっても帳簿の作成義務が必要なことには変わりはありませんので、作成するのであれば10万円以上の経費が認められる青色申告にすべきだと考えています。
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